2023.03.07
新着レポート「なぜウェルビーイングがいま注目されているのか ー 学問的理由と社会的理由」掲載のお知らせ
ウェルビーイングが注目される学問的理由と社会的理由
なぜいま日本でウェルビーイング、特に幸せという意味の主観的ウェルビーイングが注目されているのでしょうか。
それには学問的な理由と社会的な理由があります。
学問的理由:主観的ウェルビーイングの研究が盛んに行われ理解が深まってきた
1980年代以来、心理学者を中心としてさまざまな研究が行われており、最近では研究論文の数も急激に増えています。
特にウェルビーイング&ハピネスという研究分野では、米英を筆頭に欧米がこの分野をリードしています。
それに近い分野として前述のポジティブ心理学の研究も進みました。
これらによって、例えば幸せな人は創造性が3倍高いこと、生産性が1.3倍高いこと、寿命が7年から10年長くしかも健康であることなど、多くのことがわかってきました。
これらが社会に知られるにつれ、ウェルビーイングへの注目が集まってきたといえるでしょう。
社会的理由:時代の変化とともに地位財から非地位財へと価値観が移ってきた
地位財とは、カネ、モノ、地位のように、他人と比べられる財です。
これに対して非地位財とは、幸せや健康など、他人と比べるものではなく自分のなかで昇華させる財です。
つまり、モノの豊かさから心の豊かさへと時代の要請が変化してきたということです。
この価値観の変化は、20世紀の終わりにはすでに起きていました。
モノの豊かさを目指していた右肩上がりの時代は高度成長期までで、日本では少子高齢化が進んでいます。
世界的にも、環境問題や貧困・格差の問題など、単なる右肩上がりの成長を目指すべきではない理由がいろいろと生じています。
すでに成長の限界が来ているのです。
以上のように、学問的にウェルビーイングに関する多くの研究が行われてきたことと、社会の大きな流れが合わさって、いまウェルビーイングに注目が集まっているのです。