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2023.07.31

幸福度と多様性の関係について

幸福学と多様性

 

多様な友人を持つ人は幸せ

多様な人と共に働くことが大事だといわれますが、実は幸せと創造性と多様性の三者にはゴールデントライアングルのような関係性があります。

幸せな人は創造性が3倍という研究結果がありますが、私たちの研究では、幸せな人は多様な友人を持っている、という結果も得られています。

つまり、均一な友人を持つよりも多彩な友人を持つほうが幸せなのです。

 

多様なチームは均一なチームよりもイノベーティブ

また別の研究では、多様なチームは均一なチームよりもイノベーティブであるという結果が得られています。

多種多様な人がいれば、さまざまな角度からおもしろいアイデアが出るのに対し、同質の人ばかりではアイデアも偏るというわけです。

幸せと創造性と多様性はまったく別の言葉のようですが、実は関連し合っているのです。

 

したがって、幸せな職場をつくりたければ多様性の高い職場にすべきであり、多様で幸せな職場は創造性が高くなります。

同時に、幸せで創造性の高い職場は多様性が高いといえます。

つまり、ダイバーシティ&インクルージョンは幸せのためにも重要なのです。

 

また、明治大学の野田稔教授は「イノベーターのイメージが変わってきた」と発言しています。

創造性を発揮して新しい何かをつくろうとするときに、昔といまでは向き合い方や取り組む覚悟などが変わってきているというのです。

昔のイノベーターには、苦労をものともせず、リスクも恐れず果敢に単身で荒海に乗り出すというイメージがありました。

しかし最近のイノベーターは、野田教授いわく、世の中に求められていることを、楽しくおもしろい気分で探し歩いている感じだというのです。「わくわくドキドキ」がキーワードです。

おもしろいと思ったらとにかく始めてみて、仲間と対話しながらブラッシュアップさせていく。そんなスタイルになっているといいます。

まさにこれはウェルビーイング・イノベーション時代の到来、といえないでしょうか。

 

幸せ(well-being)とダイバーシティー・インクルージョン

 

米国西海岸のスタートアップや、サイボウズ、ゲームソフト開発のアカツキ、ヤフーなどのオフィスは、非常に楽しそうな雰囲気です。

幸せな状態では創造性も生産性も高く、欠勤も離職も少なく、ミスも起きにくいのですから、イノベーションが起こりやすいのです。

実際に米国西海岸のGAFAの社員は、苦労や辛酸を超えて働く雰囲気ではなく、実に楽しそうに活気に満ちて働いている印象があります。

ウェルビーイングの研究が進んできたおかげで、歯を食いしばって働くよりも、やりがいと強い自己を持って人とつながりながら生き生きと楽しく働くほうがいいというふうに、イノベーター像が変化しているといえるでしょう。

ジョブ・クラフティングという考え方もあります。ジョブ・クラフティングとは自分の仕事のやりがいについて考え直してみることです。自分が何をしたいのか、この仕事にはどういう意味があるのかなどを考えます。

これらのように、生産性や創造性を上げるために、まずは働く社員がやりがいや生きがいを持つ、つまり幸せに仕事に取り組むことができるようになることが重視されていくでしょう。