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2024.12.13

新着レポート「成人発達理論と組織論 ウェルビーイングとの関係性」公開のお知らせ

 

成人発達理論と組織論とウェルビーイングの関係性

成人発達理論やそれにもとづく組織論とウェルビーイングとの関係はどのように考えられるでしょうか。

成人の発達段階とウェルビーイングは比例する、という見方があります。軍隊のように統率されすぎると幸福度は低く、合理的な利益第一主義に偏りすぎるのも窮屈です。家族のように信頼感で結ばれ、頼り頼られる組織は幸福度が高く、さらに自由なティール組織はより幸せなのではないでしょうか。

したがって、幸福度はティール組織に近づくほど高くなる傾向があると思います。つまり、心が成長するほど幸福度は高くなる傾向にあるということです。

ここで注意するべきは、軍隊型組織は常に不幸かといえば、必ずしもそうではないという点です。体育会の競技組織に所属して、とにかく勝つために監督のいう通りにすると合意したうえで頑張り、そして優勝を手にする。この場合は、幸せを感じる場面もあるでしょう。合意し納得したうえで完全統率組織や合理組織に与することは、幸せにつながります。

 

一方、成人発達段階がオレンジあたりにある人がティール組織で放任されたならば、苦痛を感じ不幸でしょう。さらに、アンバーからオレンジ、オレンジからグリーンなど、次の段階に移行する際には変化のストレスによって幸福度が下がることも多々あります。

このように、条件や状態によっては必ずしも成人発達段階と幸福度が比例しないケースもあります。しかし、全体としては、成人発達段階が高まるにつれて幸福度は高まっていく傾向があると考えるべきでしょう。

また、幸せなグリーン・ティール型企業も、納期間近などで何らかの期限を目前に控えたときには、もちろんオレンジやアンバー組織のように働くこともあると思います。関係性は家族的なまま、やるべきときは軍隊や機械にもなる、というのがグリーン組織なのです。ティール組織も同じです。

レッドからティールまでの組織論は、段階論ではなく包含関係だといわれています。軍隊から機械、機械から家族、家族から自然林と、含んで超えるのです。

成人発達理論とは、自分勝手に生きていた段階からルールを学びそれを合理的に考える力を身につけ、合理的に考えたうえで人間味を身にまとう、人間味を身につけたうえで父親的部分を手放してオープンで自由になっていく、というように、前の段階を十分に味わい尽くしてから、次の段階へと進んでいくのです。

「四十而不惑」。孔子曰く、人間は40歳にして惑わずといいますが、ティール組織に近づくほど老荘思想のように、無為自然の状態に近づいていくのです。

現代社会の企業の多くは、合理主義経営を主とするアンバー、オレンジ組織だといわれています。『ティール組織』の著者ラルー氏は、「社会にようやくグリーン組織、ティール組織という段階が出てきた、ようやくそこまで人類が発展してきた」と述べています。

しかし、近江商人はすでにグリーン・ティールの意識を持っていたと思うのです。かつての日本は、道を究めた達人のような意識で事に当たっていました。諸手を挙げて江戸時代を礼賛する気はありませんが、江戸後期の高度な文化を見ると、武士も町民も、高度に心が発達していたのではないかと思います。

ところが、西洋化を急ぐあまりに合理主義を学びすぎて、グリーン・ティールから逆行してオレンジやアンバーまで戻ってしまったというのが日本の現状なのではないでしょうか。一方の欧米は、東洋思想に学んで、グリーンやティールに踏み込んだ企業が出始めているのだと思います。

ですから、ラルー氏のいうように最近になってグリーン・ティールが出てきたのではなく、古く老荘思想や仏教思想のなかにもそれらの考え方はあり、日本や東洋の一部ではそれが脈々と受け継がれてきたと考えるべきだと思います。

以上、成人発達理論にもとづく組織論とウェルビーイングの関係について述べました。ウェルビーイング経営を考える際には、成人発達理論にもとづくアンバー、オレンジ、グリーン、ティールの組織論を併せて考えることによって、それぞれの組織の状態に合わせたウェルビーイング組織についての考えを深めることができるのです。