2024.10.06
ボーダレス・ジャパン──社会課題を解決するための集合体
「社会問題をビジネスで解決する、ソーシャルビジネスしかやらない会社」
ボーダレス・ジャパンは、社員が幸せな会社というよりも、社会を幸せにすることに力点を置いた会社というべきでしょう。
「社会問題をビジネスで解決する、ソーシャルビジネスしかやらない会社」を標榜し、社会起業家の数だけ社会課題を解決できるとして、ソーシャルビジネスを志す起業家を募ってできた企業集合体です。代表は田口一成氏です。
要するにボーダレス・ジャパンが親会社となり、それぞれが国内外のさまざまな社会課題を解決する子会社をたくさんつくっているわけです。これまでに13カ国で40社ほどを設立し、今後も年間に100社をつくっていきたいとのことです。
田口氏によれば、各社とも10億円の売上にする自信があるそうです。つまり1000社を達成すれば、1兆円の売上になります。これを確実に達成するつもりだとのことでした。
ボーダレス・ジャパンは、社会課題を解決したい人が安心して取り組めるようなエコシステムである、つまり「恩送り」の仕組みだと田口氏はいいます。
社員が解決したい社会課題が明確になると、その際に1年分の1500万円を支払うそうです。その1500万円で1年間、自分の給料と活動費を賄ってもらうという意味です。
1年間活動して結果が出なければ、また1500万円出して、2年目の挑戦をしてもらいます。これが、自立するまで続きます。ほとんどの会社が2年ほどで自立し、利益が出るようになるといいます。
一般に、社会課題解決というのは、なかなかお金につながらない事業だと考えられています。物的な豊かさや利便性を消費者に提供して利益を得る一般企業と違って、社会課題解決は公的支援を受けて成り立っているNPOやNGOの分野だというのが一般的な解釈でしょう。企業としてきれいごとをしようとしても、なかなか利益を上げられずうまくいかないからです。
そんな社会通念のなか、ボーダレス・ジャパンは社会課題解決を着実にビジネスにし続けることによって、地球を幸せにすることに正面から取り組んでいる企業です。
無自覚のうちに実現しているウェルビーイング
「shiawaseシンポジウム」での講演を田口社長にお願いしたとき、「幸せについては何も語れませんよ」といわれ、「いえいえ、ボーダレスの活動は世界中の人々を幸せにしている活動だから、そのことを話していただきたいのです」と説明したのを覚えています。ですから、社員の皆さんも、自分たちが幸せな会社だとは気づいていないかもしれません。
しかし、課題解決を「やってみよう」、どんな課題も「なんとかなる」と新しいやり方を「ありのままに」行い、多くの人から「ありがとう」といわれている会社ですから、生き生きと真剣に課題解決に挑んでいるボーダレス・ジャパンの社員はみな、ウェルビーイングの高い方々であると感じました。
海外でも、バングラデシュのグラミン銀行に見るように、貧困に喘ぐ人々に事業資金を貸し出し、生活の質の向上を促すシステムを構築している企業もあります。いま、世界中で、人々のウェルビーイング向上を模索し社会課題を解決する企業活動の流れが活発化しているのです。