2023.03.09
健康経営・働き方改革とウェルビーイング
健康経営と働き方改革
いま、日本において職場のウェルビーイングに注目が集まっている理由が二つ考えられます。
一つは健康経営、もう一つは働き方改革です。
健康経営の組織活性化・業績向上への影響
健康経営は、文字通り働く人の健康に留意して経営を行うことですが、経済産業省が掲げる健康経営は、もっと広い意味を持っています。
従業員の活力向上や生産性の向上、組織の活性化や業績向上、さらには株価向上など、単なる身体的健康のみならず、もう少し幸せに踏み込んだことを謳っています。
しかし、健康経営の活動の実態を見ていると、運動や食生活の注意など、身体の健康にとどまりがちな場合が多いのではないでしょうか。
健康経営に関する会にお呼びいただき、お話をする機会が増えましたが、多くの企業さんが従業員の身体が健康であれば、無理も利くから生産性が上がるという狭い意味での健康と理解しているように思えました。
そこで私は、ただ身体の健康だけではなく、ウェルビーイング、つまり広義の健康を大切にしましょうとお話しています。
事実として、幸せな人は活力が高く、生産性も創造性も高いといった研究結果が出ています。
心と身体の健康は、生産性や創造性や業績に直結しているので、健康経営をウェルビーイング経営と呼ぶならば、健康経営もずっと広がりを持つと思います。
働き方改革 少子高齢化や長時間労働是正への期待
働き方改革は、当時の安倍首相が一億総活躍社会を実現するための一環として導入したものです。
その考えは、少子高齢化による働き手減少への対策として、女性や高齢者を職場に取り込み、非正規雇用も含めて賃金を引き上げ、長時間労働を是正することによって働きやすくするというもので、その結果、GDPを再び右肩上がりに戻そうという目論見でした。
この政策の文章にはウェルビーイングという単語は出てきません。
しかし残念ながら、この施策によって従業員が幸せになったという話はあまり聞きません。
もちろん、時短やダイバーシティ推進などの効果が上がっている企業もあるでしょう。
しかし、ネガティブな事例に着目すると、残業は許されず早く帰るよう促され、就業時間中は時間に追われ、同僚との会話の余裕もなくコミュニケーション不足となり、おまけに残業代が入らず収入が減ってしまった、というお話も聞きます。
幸せな従業員は生産性も創造性も高いわけですから、本来はウェルビーイングを高める働き方改革を目指すべきではないでしょうか。
健康経営にも働き方改革にも、ウェルビーイングという観点をより積極的に入れていくべきだと思います。