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2023.03.17

ウェルビーイングとポジティブ心理学

ウェルビーイングとポジティブ心理学

 

マーティン・セリグマン──ポジティブ心理学の創始者

ウェルビーイング研究について語るとき、欠かせない研究者の一人は、ポジティブ心理学の創始者であるペンシルベニア大学教授のマーティン・セリグマン氏です。

 

セリグマン氏はうつ病の研究者からポジティブ心理学に移った方で、有名な「PERMA」を提唱しました。

 

ポジティブ心理学における「PERMA」とは

「PERMA」とは、「ポジティブ感情(PositiveEmotion)」「何かへの没頭(Engagement)」「人との関係(Relationship)」「生きる意味(Meaning)」「達成(Accomplishment)」の五つを満たしている人が幸せ、というものです。

 

まず、「P」は、ポジティブ感情です。

うれしい、面白い、楽しい、感動、感謝など、ポジティブな感情を持つ人は幸せです。

 

没頭とエンゲージメントの違い

二つ目の「E」(何かへの没頭)は、ハンガリー出身のシカゴ大学教授だった故ミハイ・チクセントミハイ氏が提唱したフロー体験と同義語といわれています。

 

あるいは、スポーツなどでゾーンに入った状態と考えていただければよいでしょう。

何かに、時間を忘れて没頭することです。

 

物事に対するエンゲージメントであって、人事用語でいう「従業員エンゲージメント」とは少々違う意味です。

 

人事用語の従業員エンゲージメントは、没頭というよりも職場への貢献意欲や共同体意識を測るための概念です。

つまり、職場が好きで仕事にも前向きに取り組んでいるかを問うものです。

 

一方、セリグマン氏やチクセントミハイ氏のいうエンゲージメントは、何かにのめり込んで没頭している状態、すなわちフローやゾーンの状態という意味で使われています。

 

ポジティブ心理学では、没頭している状態のときには幸せかどうかを判断しないけれども、それはウェルビーイングな心理状態の一種だと捉えます。

 

人事用語に「ワーク・エンゲージメント」という言葉もありますが、こちらは集中し熱中して働いている状態ですので、セリグマン氏やチクセントミハイ氏のいうエンゲージメント、フローと近い意味です。

 

利他的な人は幸せ

三つ目は「R」、他者との関係性です。

 

人間は、独りだとロンリネス(孤独)の状態になり、孤独状態では幸福度は低い傾向があります。

 

一方で、ソリチュード(孤立・孤高)という概念もあります。

この状態では特に幸福度は低くないため、ロンリネスとソリチュードは区別すべき概念です。

 

ロンリネスを感じている人は幸福度が低いので、人とつながりを持つことが大事です。

利他的な関係、人と助け合う関係を持っている人は幸せだということも明らかにされています。

 

生きる目的を自覚する

四つ目は「M」、生きる意味です。

 

生きる目的を自覚すること、自分よりも大きいものとの関係を意識することが大事といわれています。

「大きいもの」とは、社会や地球でもよいでしょう。

 

社会に対して自分のできることは何かを考える。

地球に対して、環境に対して、自分には何ができるかを考えながら取り組むことで、充実感が生まれるはずです。

 

もう少し大きなものとして、少々宗教的になりますが、神や宇宙との関係を考えることも幸福度に関係するようです。

 

宇宙という巨大なもののなかにいる自分を科学的に捉えること、あるいは、神を信じている人は神との関係を意識すること、そうしたものとの関係も含めて、生きる意味が明確な人は幸せで、不明確な人は幸福度が低いということが明らかにされています。

 

何かに一生懸命な人は幸せ

そして五つ目が「A」、達成です。

何かを達成することのみならず、達成のために努力している姿勢も含めてAccomplishmentだと、セリグマン氏はいいます。

何かを成し遂げる、あるいはそのために一所懸命がんばっている状態の人は幸せということです。

 

以上「PERMA」の五つを満たしている人は幸せを感じているということを、セリグマン氏は強調しています。